The Third Eye Foundation – The Dark 〜墓のなかからもどってきました〜
この10年、リミックスなどではたびたび名前を見かけていたものの、もっぱら本名名義で活動していたMatt Elliottがついに「The Third Eye Foundation」の封印を解き、4th『Little Lost Soul』以来、10年ぶりとなるニュー・アルバム、その名も『The Dark』をリリースします。
暗黒のアトモスフィア、頭をもたげる複雑なビートと重たいベースによるウォール・オブ・サウンド。TEFの音楽的エレメンツがすべて表現された本作は、まぎれもなく『Little Lost Soul』の続編です。自らを葬り、レクイエムとして鳴らされた前作から10年、墓から出てきたTEFの帰還に涙せずにはいられません。
5編の組曲に分けられたトータル43分のオペラ。鼓動するドラムンベース・ビート(時にはダブステップ調のビートも)やスリリングなノイズと、恐怖的なクラシカル・オーケストレーションの激しい応酬の果てに訪れる、つかの間の幸福に満ちたサウンドスケープ。全編を通してメロディーを担っているとも言える、コラールや声のサンプリングが、叫び、ささやき、すすり泣く、容赦のない感情の結露が激しく心を揺さぶる。その啓示的な展開はTEFならではでしょう。
痛み、悲しみ、苦しみ、そして、怒り。本名名義で絶望を歌いつづけた彼が再び世界に対しての怒りを表明した『The Dark』は、罪と後悔にさいなまれながら終わりなき戦いを続けないといけないことを表しているようです。ただ、希望をほのめかしたあとに、地獄の底に突き落とそうとしているようなラストの展開がどういうことなのか、もうすこし考えてみないといけませんね。
アルバムにはいずれもマルチ・インストゥルメンタリストであるChepelier FouことLouis Warynskiと、Manyfingersこと盟友Chris Coleが参加しています。アートワークはおなじみのUncle Vania(この前ご紹介したものから上記のカバーに変わったみたいです)によるもの。
最後に、『I Poo Poo on Your Juju』のブックレットにひっそり書かれていた言葉をいま一度書き留めておきます。
“Farewell,my pleasures past, Welcome,my present pain !”
孤独な魂よ、痛みとともに生きつづけましょう。
ida071 / Ici D’ailleurs
2010.11.8 release
Track listing
1. Anhedonia 11:12
2. Standard Deviation 10:20
3. Pareidolia 7:29
4. Closure 9:52
5. If You Treat Us All Like Terorists, We Will Become Terorists 4:10
The Third Eye Foundation official site
・関連記事:【速報】Third Eye Foundation 10年ぶりのニュー・アルバム!
Tags: Matt Elliott, Third Eye Foundation
This entry was posted on 2010年 9月 13日 at 11:51 and is filed under disc review, music news. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.