hue and cry

The Leisure Societyニュー・アルバム『The Fine Art Of Hanging On』

奇数年の春にきっちり2年ごとに新作を届けてくれるザ・レジャー・ソサエティが4枚目となる新作『The Fine Art Of Hanging On』とともに戻ってきてくれました。

*詳細はこちらをご覧ください:http://www.inpartmaint.com/site/12429/

アルバム・タイトルは「がんばりつづけることの芸術」。10代でキャリアをスタートさせ、33歳のときにザ・レジャー・ソサエティとしてブレイクを果たしたニック・ヘミングだからこそ出てきた言葉だと言えるでしょう。

2011年の傑作2nd『Into The Murky Water』と双璧をなすと言ってもいい本作。なんといっても1曲目を飾るタイトル・トラックがほんとうに感涙必至の出来なんです。

意外なシンセのビートからはじまるこの曲は前作におけるスタート曲「Another Sunday Psalm」であり、2ndにおけるスタート曲「Into The Murky Water」と同様にザ・レジャー・ソサエティ史上の名曲。つまりはアンセムです。風通しのいいサビの高揚感は「Into The Murky Water」をおもわせますね。ちなみにトランペットは前作同様ニック・エトウェル(マムフォード&ザ・サンズ etc.)が演奏。

音楽的にはザ・キンクスなど60年代英国ロックを意識した内容の前作と比べると、それ以前のチェンバーポップ感がすこし戻ってきた印象。

内容としてはガンと闘病する親友にアルバムのデモを送り、フィードバックを得ながら書いたということで、「人生にしがみつき固執すること」をテーマにしています(ニック・ヘミングの歌詞には「cling to」(しがみつく)という単語がたまにでてきますね)。リリックはより難解ですが、いつも以上に強い覚悟をにじませている印象。

「がんばりつづけることの芸術が/ぼくらを励まし命を高めてくれる」という「The Fine Art Of Hanging On」の一節にこれから何度も助けられる予感がします。

パッケージはいつものように豪華ハードカバーブックタイプ。Owen Daveyデザインによるサイファイ絵本のようなすばらしいアートワークは強い意志の塊であり、多くのひとがこの作品のためにがんばったという証明であり、フィジカルリリースの意地でしょう。たくさんの方々に手にとっていただきたい作品です!

「春のLiricoまつり」もぜひ!

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