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FEATURE


THE LEISURE SOCIETY INTERVIEW

interview with Nick Hemming (質問:大崎晋作)

1. これが日本向けの最初のインタヴューだと思いますので、まずは基本的な質問からさせてください。クリスティアン・ハーディとはどのように出会い、どのようにザ・レジャー・ソサエティをはじめたのでしょうか?

ぼくらはふたりともバートン・オン・トレントっていう同じちいさな街の出身なんだ。6年ぐらい前にクリスティアンに頼まれたんだ。ロンドンに来て、彼のバンドに入らないかって。ぼくはちょうど彼女と別れたときで、あと、そのときしていた仕事が嫌いだったってこともあって、引越するのは自分にとっていいことだと思ったんだ。6ヶ月間は彼の家のソファで寝て過ごしたよ。そこで『The Sleeper』の曲のほとんどを書いたんだ。そのときまでザ・レジャー・ソサエティはぼくだけで、ひとりでスタジオでレコーディングしてた。クリスティアンがその曲を聴いて、ライヴをするようにすすめてくれて、それでバンドがスタートしたんだよ。

2. 「The Last of the Meltnig Snow」がアイヴァー・ノヴェロ・アウォードの最優秀楽曲賞にノミネートされたときの感想を教えてください。翌年、「Save It For Someone Who Cares」も同賞にノミネートされたました。ぼくはこれはインディー・バンドにとって大変な快挙だと思いますが、あなたはそのノミネーションに驚きまし たか?それとも自信を感じましたか?

最初のノミネーションはとんでもない驚きだった。とくにそのときぼくが働いていた倉庫(注:繊維メーカーで働いていた)までTVカメラが追いかけてきたのには驚いたよ!ちょっととんでもなかったけど、ぼくにとってはよかったと思うよ。そのときまでぼくはほんとにシャイでインタビューとかそういうのは避けてたんだけど、メディアの騒動がぼくをスポットライトに押しやったから、じぶんのシャイさをすぐに克服しなきゃいけなかったんだ!2度目のノミ ネーションは最初と同じくらい驚いたね。2年連続のノミネーションは信じられないことだった。

3. 元バンドメイトのシェーン・メドウズとパディ・コンシダインとあなたはバンド解散後、何年も経って3人ともそれぞれ成功をおさめました。そのことについてどう思いますか?

とても不思議なことだよね。小さな街出身の3人の友人たちがみんな成功したんだから。シェーンとパディがうまくやって、こんなにもビッグになったのは明らかだよ。彼らは早くに成功を収めたけど、それに比べたらぼくは長く曲がりくねった道だったと言えるね。ぼくにはもうひとり同じ街の出身の友達がいて、ヴォーグ・ロシアのファッション・ディレクターになったんだけど、だからバートン・オン・トレントにはインスピレーションを与えてくれる何かがあるに違いないね・・・みんな何かにインスパイアされてそこから逃げ出すんだと思う!

4. 曲と歌詞はどちらを先に書くんですか?

いつも曲のほうが先だね。ふつう、ギターかウクレレでまず始めて、意味のない歌詞を歌うんだ。最終的に意味のあることばが転がり出るまでね。たまに歌詞ができあがるまで時間がかかるけどね。ぼくはひどい歌詞が嫌いだから、それに執着しがちだね。ニュー・アルバムのタイトル・トラックの「Into the Murky Water」は完成するまで2年以上かかったんだ。

5. 2ndアルバムをぼくはほんとうに楽しみにしていました。1stの成功のあとで、とてもプレッシャーがあったんじゃないかと思いますが、作りはじめたと き、どのようなアルバムにしたいと考えていましたか?また、『The Sleeper』と『Into the Murky Water』のレコーディングになにか違いはありましたか?

プレッシャーは少し感じてたよ。ひどい不眠症になったんだ。1stアルバムではただ自分のために曲を書いただけだったけど、このアルバムではオーディエンスが次に聴きたがっているのはなにか、ってことを感じながら書いたんだ。レコーディングのプロセス面での主な違いは、最初からライヴ・バンドとして実際にいっしょにプレイできたってことかな。ぼく、クリスティアン、バス、ダレン、そしてヘレンで田舎のほうに行って、新曲のジャム・セッションをいっしょに行った。そのときにリズム・パートのレコーディングをして、それをレコーディングのベースとして使用したんだ。1週間ぐらいかかったんだけ ど、残りはぼくのフラットで7ヶ月間かけてレコーディングしたよ。コンスタントにミュージシャンが入れ替わり立ち替わりやってきたから、隣の住人はなにがあったのかと不思議に思ったに違いないね。

6. 『Into the Murky Water』・・・タイトルが印象的ですね。ぼくはこれをあなたたちの決意の表れだと受け取ったのですが・・・どうしてこれをアルバム・タイトルに選んだのでしょう?

曲を書いていたときに、このフレーズが「転がり出た」んだ。これは人生の不確実さのメタファーなんだけど、たぶん部分的にはぼくの海に対する愛情にインスパイアされてるかもしれない。実際、イギリスの海岸線を数ヶ月間、インスピレーションを探して旅行したんだ。結果的にアルベール・カミュの『転落』を読んだあとにリリックを書きおえた。ぼくらは2ndアルバムにとってこれがすばらしいタイトルだって思ったんだよね。『The Sleeper』のカバーに描いてあった、飛び込み台の上でバランスをとっていたピンクの男・・・ある意味では彼が飛び込んだときに見つけたものについてのアルバムだと言えるね。

7. 本作においてより成熟したソングライティングとより繊細なアレンジメントにとても驚かされました。ぼくにはまるであなたがUKでベストのソングライター/ ベストのバンドになろうとする強く美しい意志を感じさせましたが、あなたがこの作品に込めた想いやメッセージについてお聞かせください。

ぼくらは未来のクラシックを作りたくて、明確にこの作品にアプローチしたんだ。すべての音符、すべての楽器にいたるまで執着したよ。実際、タイトルトラックでぼくはマリンバを録るのに3人の別々のミュージシャンといっしょに行ったんだ。正しいサウンドが欲しくてね。車でたくさんの機材といっしょになんども飛び回ったよ。レコーディングには妥協はいっさいなかったんだ。だからつまりとても長い道のりだったよ。ミックスが終わったらもう戻れないし、変更はできないからね。だから、ベストを尽くさないといけない。きみがその結果を認めてくれてとてもうれしいよ。

8. リリック面でも変化がみられます。よりポジティヴに、希望で満ちているように思えますが、そのことはどう思いますか?ぼくはとくに「I Shall Forever Remain an Amateur」が好きです。あなたはとてもプロフェッショナルにこんなにもすごいアルバムを作ったのにそう歌っているところがとくに。

本当は1stアルバムを書いたとき、少しがっかりしたんだ。1stの曲はカタルシスがあって、それを書くことがただぼくのやすらぎになってたんだとわかった。間違いなくもっとずっとハッピーなところからこのアルバムを書いたんだよ。「I Shall Forever Remain an Amateur」を書き始めたのは、倉庫での昼間の仕事をやめた(プロフェッショナルなミュージシャンになるために)翌週のことだった。タイトルにはある種の皮肉の要素もあるけど、同時にぼくはいつもアマチュアのようなものを感じているんだよ。じぶんの好きなことをして生きていけるってことはものすごい名誉のように思うよ。

9. ザ・ビーチ・ボーイズの影響を感じますが、誰か影響を受けたアーティストやバンドはいますか?

ザ・ビーチ・ボーイズはザ・ビートルズと並んでぼくが最も音楽的に影響を受けたバンドであることは間違いないね。ブライアン・ウィルソンのオーケストレーションの使い方が大好きなんだ。ぼくはラッキーだよ。なぜならバンドのフルート奏者のヘレンがロンドンのトリニティ・ミュージック・カレッジに 通ってるんだ。つまり、このアルバムのためにあらゆる楽器を使うことができたからね。で、ぼくらはそれを最大限に活かしたのさ!ソングライティング面ではたぶんレイ・デイヴィスにいちばん影響を受けてると思う。

10. The Willkommen Collectiveについて教えてください。ゆるやかなグループのように思えますが、実際、どのように集まってるんですか?

The Willkommen Collectiveは志を同じにするグループで、古い友人のひとりであるトム・コーワンによってまとまったんだ。お互いにそれぞれのバンドでプレイし、 たまに一緒にライヴをするんだよ。不運にもぼくはアルバムを作るためにひきこもってたから、この1年はその多くは参加できなかったけどね。ぼくらはみんないい友だちなんだ。彼らはみんなブライトンに住んでいて、いろんなプロジェクトを行って、いくつかすばらしいアルバムをリリースしているよ。

11. あなたは歴史に残るようなこんなにもすばらしいアルバムを作り上げました。あなたにとってゴール、あるいは次のステップはなんでしょう?

次のステップはツアーに出てライヴをすることだね。ほんとうにとても楽しみにしてるんだ。だって、長い間スタジオで時間を過ごしてて気が狂いそ うだったからね!すでに次のアルバム用の曲も書き始めてるよ。でも、いまはまだ自分のなかでキープしとく。だからぼくらは『Into the Murky Water』に集中するよ。ぼくらはみんなこのアルバムをとても誇りに思ってるし、できるだけたくさんの人たちに聴いてもらいたいと思うよ。
(3/9 メールにてインタヴュー)

インタヴュー原文はこちら
The Leisure Society 『Into The Murky Water』4/21発売!



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