Richard J. Birkin
“Vigils”
リチャード・J・バーキン
『ヴィジルズ』
¥2,200+税
LIIP-1523
2015年11月15日リリース
国内盤CD
レーベル: Lirico
シンガー・ソングライターとして生まれ、作曲家として育ったポスト・クラシカルとフォークの交差点。
牧歌的終末に捧げられた静かな祈りの音楽。
かつてエンフェメトリー名義で活動していたイギリス人作曲家/シンガー・ソングライター、リチャード・J・バーキン。シンガー・ソングライターと作曲家、ふたつの顔を持ち、作品によって名義を使いわけていましたが、このたび本人名義としては初となるフル・アルバムをリリース。
キリスト教の「徹夜祭の祈り」というタイトルが冠された本作は、村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と、過去・現在・未来を歌ったニール・ヤングの「After The Gold Rush」の歌詞の内容を合わせたような「世界のおわり」のイメージをコンセプトにした作品。生き物がいなくなった世界における荒廃したほこりまみれの部屋がこの作品の物語の舞台ですが、あらゆる感情が消え、残響だけがのこる世界において、ただのどかな美しさだけが表現されたような心地よい作品です。
ヨハン・ヨハンソンやダスティン・オハロランなどのライヴで活躍し、レディオヘッド、ジェイミーxx、ヴァンパイア・ウィークエンドとのコラボレーションで知られる実力派弦楽団イスクラ・ストリング・カルテットと、デルヴェンティオ・カルテットによる弦楽四重奏を中心に、バーキン自身が奏でるピアノ、アコースティック・ギターとが絡み合う優雅なアンサンブル。ヨハン・ヨハンソンとマックス・リヒターの作品に出会ったことで弦楽器をベースにしたシネマティックな作曲を志向するようになったというバーキン。その目線の先には、同じく彼の音楽に影響を与えたピーター・ブロデリックがいますが、シンガー・ソングライターとして出発し、作曲家としても評価された先人と同じ道を辿るように作りあげた華麗なるポスト・クラシカル・フォークは、バルモレイの名盤『Rivers Arms』などにも通じる美を感じさせます。
唯一のヴォーカル・トラックである「Moonbathing」の豊かな高揚感、ノッティンガム市議会からの委託によるインスタレーションのための作品「Night Sun」のオルゴールと弦楽器の陰影、そしてアルバム・タイトルでもある「Vigil I」から「Vigil VI」におけるまるでダスティン・オハロランのような音の色めき。
ヨハン・ヨハンソンがアカデミー賞にノミネートされ、ダスティン・オハロランがエミー賞を受賞するなど、大きなニュースが続々と届く2015年のポスト・クラシカル・シーンにおいて、リチャード・J・バーキンは最大の発見と言ってもいいかもしれません。
Track listing:
01. Atomhög
02. The Human Voice
03. Accretions
04. Vigil I
05. Vigil II
06. Vigil III
07. Moonbathing
08. A History Of Good Ghosts
09. Night Sun
10. Vigil V
11. Vigil VI
Richard J. Birkin
リチャード・J・バーキン
イギリスのダービーシャー出身の作曲家/マルチ・インストゥルメンタリスト/アーティスト/シンガー・ソングライター。レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ、ヘンリク・グレツキ、フィリップ・グラスといった作曲家やジョン・ポール・ジョーンズが手がけたレッド・ツェッペリンやR.E.M.のアレンジなどの影響でクラシカルなアレンジに興味を持ちはじめ、近年はマックス・リヒター、ヨハン・ヨハンソンの作品に出会ったことで、弦楽器をベースにした作曲を志すようになった。映画音楽やアートプロジェクトのための音楽、CM音楽などを数々手がけ、マイケル・オリヴァー・フリアソンの詩とコラボレーションしたプロジェクト「Songs For Spoken Words」が高評価を得た。また2011年にはエンフェメトリー名義でシンガー・ソングライター作品『A Lullaby Hum For Tired Streets』(ニルス・フラームが参加)もリリースしている。
official: http://rjbirkin.co.uk/