天才サウンド・アーティストAlva Noto(アルヴァ・ノト)。彼が1999年から2008年の間に制作した、ある人物達へのオマージュ曲を集めたレアトラック・コレクション。美しく絡み合うサインウェーブと静寂のリズムが織りなす、洗練を極めるデジタルサウンド。現代エレクトロニック・ミュージックシーンを牽引するAlva Noto、過去10年間のミニマリズムの軌跡。
アメリカのミニマル・サウンドアートレーベルLINE(ライン)より2006年6月にリリースされた、アルヴァ・ノトことカールステン・ニコライのアルバム『For』。1999年~2005年の間に、ある人物やあるプロジェクトの為に制作した楽曲全9曲を1つにまとめたアルバムだったが、全世界で限定2000枚のみのリリースだったため、発売約1年後には廃盤になってしまった作品である。カナダの現代写真家ジェフ・ウォールのドキュメンタリーの為に制作した音楽や、葛飾北斎、ジョン・ケージに捧げた曲、早逝したコイルのメンバー、ジョン・バランスのトリビュート・アルバムの為に制作した曲などが収録されていた。
そして、『For』がリリースされてから4年後の2010年4月、その続編の『For2』がリリースされることとなった。この作品も、2003年~2008年の間に行われた様々なプロジェクト、もしくはある人物の為に制作した楽曲を集めたアルバム。坂本龍一のChain Musicプロジェクトに参加した時の曲、ドイツ人工業デザイナー、ディーター・ラムスの授賞式の為に制作した音楽、ロシア人映画監督アンドレイ・タルコフスキーのトリビュート・アルバムの為に制作した楽曲等が収録されている。
アルヴァ・ノト本人のアイデアにより、現在は廃盤となっている『For』と、その続編『For2』をセットにし、『For 1+2』というタイトルの2枚組CDが日本国内のみで発売が決定。この2枚をあわせると、現代エレクトロニック・ミュージックシーンを常にリードしてきたアルヴァ・ノトのサウンドが、過去10年の間にどのように進化してきたのかを知る事ができる、クロニクル的な作品としてとらえる事もできるだろう。
*日本盤のみライナーノーツ付 / 解説:畠中実(ICC)
Tracks:
FOR 1 (Disc 1)
01 counter for elfriede jelinek 2005
02 transit for suchan kinoshita 2005
03 station remo for tvpow 2004
04 gulf night for peter roehr 2004
05 flashforward for ernie and bert 2005
06 jr for katsushika hokusai 2000
07 odradek for jhonn balance 2004
08 wall anfang for jeff wall 2000
09 alva noto.z1 for john cage 1999
FOR 2 (Disc 2)
01 garment for a garment 2007
02 villa aurora for marta feuchtwanger 2003
03 pax for chain music 2003
04 argonaut for heiner mu¨ller 2007
05 stalker for andrei tarkovsky 2008
06 sonolumi for camera lucida 2007
07 interim for dieter rams 2007
08 t3 for dieter rams 2007
09 early winter for phill niblock 2006
10 anthem berlin for the kingdom of elgaland-vargaland 2006
11 ans for evgeny murzin 2007
12 argonaut-version for heiner mu¨ller 2007
Alva Noto
アルヴァ・ノト
1965年東ドイツのカールマルクスシュタット生まれ。現在ベルリンとケムニッツを拠点に世界的に活動する、ヴィジュアル/サウンド・アーティスト。創造的なプロセスに対する独自の微視的な見方を創りだすために、電子音とヴィジュアル・アートをある種のハイブリッドツールとして用いる作品で知られる。ポストテクノ音響の世界のみならず、現代美術やメディアアートといった多彩な領域を横断し、独自のポジションを確立。国際的に非常に高い評価を得ている。彼のサウンド・アーティストとしての名義がNoto/Alva Noto/Aleph-1である。ソロ名義の他に、Pan Sonic、Opiate、そして池田亮二とのcyclo.など様々なアーティストとのコラボレーションを行い、2007年はビョークのリミックスも行った。そのコラボレーションの中でも、坂本龍一とのコラボレーション3部作「Vrioon」「Insen」「Revep」により、ここ日本でも一躍その名を広める。また、ドイツの音楽レーベル「raster-noton」を運営する。