本国スウェーデンでIKEAのCM音楽も手がけるミュージシャン、ミュゼットの2ndアルバム。シャンソンやイージーリスニングを取り入れたドリーミーなアンサンブルを古いアナログテープに録音した、独特の暖かみを持つノスタルジックなサウンド。夢の中の宇宙遊泳。忘れ去られた遊園地。そんな幻想を彷彿させるユーモアとセンチメンタリズム溢れる1枚。

スウェーデン人ミュージシャンMusette (ミュゼット)こと、Joel Danell(ヨエル・ダネル)が約3年ぶりにセカンドアルバムをリリース。北欧の澄んだ空気感を纏わせたやさしいフォーク・アンビエントの傑作1stアルバム「Datum」は、今もなおロングセラー中。そして本作「Drape Me in Velvet」では、誰が聞いてもミュゼットとわかる唯一無ニのドリーミーなメロディーやサウンド・プロダクションに、遊びご事溢れる実験音楽の要素も溶け込ませた、よりスケールの大きな作品となりました。

本作の誕生の始まりは、ヨエルが親戚から譲り受けた大量の50年代~60年代のカセットテープやオープンリールテープ。それらの古いテープはコ状態が良いものから悪いものまで様々でしたが、ヨエルはそのテープに新しい音楽を録音していきました。この録音時に、テープはさらに傷がついたりしわくちゃになったりと劣化しましたが、そういったダメージから偶然生み出された音もまた、本作がもつ暖かく愛嬌たっぷりのサウンドの魅力のひとつ。

無声映画を彷彿させるような古めかしくノスタルジックな雰囲気と、エキゾチックなイージーリスニングやフランスのシャンソンのエッセンス取り込んだ、ピアノやアナログシンセを基調としたメロディアスなアンサンブルを、テープの劣化から生まれたかすかなな歪みや、もともと録音されていた遠い昔の音もほんのりと聞こえるアナログテープ独自の暖かなバックグウンドノイズが優しく包み込みます。夢の中の宇宙遊泳のようにドリーミーで、忘れ去られた遊園地のようにすこし寂しげな、ユーモアとセンチメンタリズムに心ときめく素敵な作品。

※ボーナストラック 1曲収録