Tamas Wells : Writing an Album
タマス・ウェルズより久しぶりのメール。真冬のタスマニア島で7日間のレコーディングを行うことが決定した模様です。前よりもたくさんの楽器が用いられるとのことで、期待ができそうです。
2月くらいから、facebookでたまに「Writing an Album」というタイトルで、アルバムについてつらつらと書いているので、ご覧になったかたもいるかもしれませんね。それがけっこうたまってきたので、せっかくなので、まとめて日本語に訳してみました。よかったら読んでみてください。
Writing an Album Part 1: Write songs in analog…
これからアルバムを書くことに関するぼくの考えを行き当たりばったりに書いていく。まずはアナログにメロディーを書く必要がある。最近ではあらゆるラップトップに何千ものデジタルのトリックがある。でも、結局どんなにトリックをしかけようと、ゴミのような曲はゴミでしかないというのが結論。だから、まずぼくがするのは、ヤンゴンのダウンタウンのマーケットで買ったひどいスピーカーのついた古いディクタフォンにすべての曲のアイデアをアコースティックに録ることなんだ。もし、メロディーがそんな悪条件で半分くらいいいと聴こえるなら、それはちゃんとレコーディングする見込みがあるってこと。ホコリっぽいディクタフォンでオーケーに聴こえない曲はいつも良くない曲なんだ・・・。
Writing an Album Part 2: most of what one writes is very ordinary…
曲を書くのは簡単だ。
悩みの種は曲を書く90%の時間がせいぜい退屈で、ほとんどゴミのようになるかもしれないということ。だから、ぼくらは何本ものテープ分の曲を書く必要があって、結局は価値のあるなにかは自然と出てくるものなんだ。有名な画家がかつて言ったのは、彼はミスをするまで描いて、そしてたまにその間違いのなかにほんとうにクリエイティヴなものが起こるということ。ぼくらはすばらしい“間違い”が起こるまでどれだけかかるかわからないから、しばらくはただ何かを書きつづける。
曲を書くのは簡単だ。
ぼくは昨年、124曲を書いた・・・そのなかに12個くらいの間違いがればいいね。
Writing an Album Part 3: Melodies
友人がかつてぼくに言った。いい曲はメロディー、リリック、プロダクション(たとえば、ほかの楽器とかミックスとか、ぼくにはわからないほかのテクニカルな面)だと。でもぼくの考えでは、はじまりはメロディーだ・・・グッド・メロディーへの公式はない。そうでなければ、LAのプロデューサーが何十年も前にそれを見つけてるだろうね。でも、ヴァース、プリ・コーラス、コーラス、ブリッジ・・・を介して、メロディーの公式を試すことを彼らはやめなかった。個人的にはすばらしいメロディーはあらゆる形とサイズで生まれると思う。ビートルズの「Penny Lane」を聴いてみて。そしてIron & Wineの『Our Endless Numbered Days』の最後の曲を聴いてみてほしい。そこにはその公式がある。ほかはただ12回リピートされるヴァースだけど。
Writing and Album Part 4: It always takes longer than you think…
ある時間枠のなかでアルバムを終わらせることについて、ぼくは永遠に楽観的なんだ。でも、そういうふうにならないという事実はいつもいいことだ。時々はちょっと遅れては、それで新しい見方ができるようになる。でも、重要なのは、ソングライティングとアレンジにかけた時間の10%が、その曲の90%になって、90%の時間は曲が完成するまでの残り10%分になるということなんだ・・・。最初の部分は簡単に起こるけど、最後の部分はいつもすごく難しいんだ・・・。
Writing an Album part 5: Note to self, in future write albums in a place which has electricity…
毎年このじきになるとヤンゴンはひどいんだ。
たぶん、供給されるおおくの電力が水力発電からまかなわれるから、水がたくさんある雨期は、ほとんどずっと電気は来ている。でも、いまは暑い時期の終わりで、水はほとんど切れている。電気も同じ。ぼくらは最近は24時間のうち、3時間しか電気が使えない状況だった。さらに最悪なのは、40℃以上の暑さの中、扇風機をつけることもできないってこと!
だから、パソコンの電源をいれて、マイクをつなげて新しい曲を録ることもかなり難しいことなんだ。そのかわりに、昨夜、廊下のタイル張りの床にあおむけに寝転がって、天井をみつめて、玉のような汗が顔に流れるのを感じながら一晩を過ごしたんだ。たぶん、こういう経験からいいインスピレーションが生まれるんじゃないかな?そうは思わない?
Tags: Tamas Wells
This entry was posted on 2010年 5月 18日 at 19:53 and is filed under Tamas Wells. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.
5月 31st, 2010 at 22:19
うどんげ says:英語ワケワカメな自分にとって、この翻訳記事はとても嬉しいです。
楽器に関して、僕としては次のアルバムでまたピアノやマンドリンが使われることを期待しています。
『A Plea en Vendredi』は歌声と伴奏の一体感がより高次なものになったと思える出来だったので。
素敵を情報ありがとうございました。
6月 1st, 2010 at 12:46
sin says:喜んでもらえてうれしいです。こういうのもたまにやっていこうと思います。
マンドリンはわかりませんが、ピアノは確実に多用されるはずです。
『A plea en vendredi』を超える作品を期待したいですね。