hue and cry

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Grand Salvo再来日ツアー!

タマス・ウェルズのリリースにかまけてたらグランド・サルヴォのツアーが来週にせまってきていました。2012年9月の初来日ツアーから1年半、まさかの再来日です!前回見逃した方はぜひこの機会に!

3/27(木) 東京・七針
http://www.ftftftf.com/
3/29(土) 浜松・鴨江別館
http://folkloreforest.web.fc2.com/005.html
3/30(日) 東京・TONE (with Federico Durand)
http://www.flau.jp/events/crosss6.html
4/6(日) うきは・bezAleel
4/8(月) 福岡・bar petrol blue
http://wood-waterrecords.com/archives/1079

Nils Frahmといっしょに作った2012年の最新作『Slay Me in My Sleep』はわかりにくコンセプトのせいかあんまり売れなかったけど、めちゃくちゃすばらしいので未聴の方はあわせてお願いします!名曲「The Lament of the Regretful Ghost」だけでもぜひ聴いてください!

Grand Salvo新作『Slay Me in My Sleep』発売&来日ツアー決定!

オーストラリアのシンガー・ソングライターGrand Salvoの6thアルバム『Slay Me in My Sleep』が先週発売となりました。

Grand Salvo『Slay Me in My Sleep』
http://www.inpartmaint.com/lirico/lirico_title/AMIP-0017.html

発売元のレーベルPresevationがライセンスには興味がないとのことで諦めかけましたが、この作品はちゃんとした形で紹介すべきだという思いから、歌詞/対訳とボーナストラックのダウンロード・クーポンをつけた国内流通盤という形でリリースすることに決めました(オリジナル盤には歌詞は含まれていません)。

前作『Soil Creatures』でその才能を示した彼が作り上げた最新作は前々作にあたる『Death』のようなコンセプト・アルバムで、少年と老女の物語を紡いだ寓意に満ちたフェアリーテイルのような作品。

とにかく、まるで演劇の脚本のようにみえる曲のタイトルが長いのが特徴的ですが、物語の濃密さと、それを表現するソングライティングとアレンジメントのクオリティの高さが目を見張ります。たとえば昨年、The Leisure Societyの『Into the Murky Water』をはじめて聴いたときと同様の、「完璧なポップ・ミュージックに畏怖する感覚」をぼくはこの作品でも感じました。つまり、ポップの神様(あるいは悪魔)と取引をしたかのような怪作。

本作はベルリンのピアニスト、ニルス・フラームのスタジオでレコーディングが行われました。ニルスがピアノなどの楽器を弾いている他、共同プロデューサーとしてクレジットされています。思いもよらなかった組み合わせですが、両者のクラシカルな共通感覚はそのコラボレーションの結果である本作の至るところで聴かれます。

「国内流通盤」という形態をよく思わないかたもいらっしゃることでしょう(ぼくもそのひとりですし)。けど、儲けることを重視するならわざわざ苦労してこんなことをやるわけありません。特にオーストラリアドルはとても安定してて、ドルやユーロに比べてもオーストラリア盤はいまも高いですし、正直、このプロジェクトで得る利益はほとんどないのです。それでもこうしてLiricoが紹介する意味をすこしでも感じていただければ幸いです。アルバムのアウトテイクと思われるボーナストラックもすばらしいですし、ぜひ歌詞をダウンロードしたうえでGrand Salvoの物語にふれてください。

そして、朗報です。そのGrand Salvoがなんと来月日本にやってきます!ヴァケーションとして来日するついでにライヴもやっちゃおう、ということで数公演を行う予定。以下は詳細が確定している東京公演の情報です。同じく新作をリリースしたMinakumariとのダブル・リリース・パーティとなります。ピーター・ブロデリックとニルス・フラームも演奏した教会でのライヴ。Grand Salvoはギターの弾き語りだと思いますが、すばらしい夜になることでしょう。すくなくともタマス・ウェルズをすきなかたは決して見逃してはいけません!

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Grand Salvo『Stay Me in My Sleep』+ Minakumari 『Rang』Release Party

2012年9月23日(日)
@下北沢・富士見丘教会
open/start: 17:00 / 17:30
adv./door: 2,500yen / 3,000yen

出演:Grand Salvo / Minakumari / cokiyu

DJ:flau
PA:福岡功訓 (Fly sound)

前売りチケットメール予約 event@flau.jp
件名を「9/23」とし、
お名前・連絡先・枚数を明記の上、上記アドレスまでご送信ください。

協力:p*dis/impartment, Lirico, Parade, Taguchi, Fly sound, Preservation

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他の都市の公演も詳細がわかり次第、お伝えいたしますね。

lirico初のコンピレーション『Saddest Songs』

saddest_songs

当初の予定よりも若干遅れてしまいましたが、liricoとしては初となるコンピレーション・アルバム、その名も『Saddest Songs〜世界でいちばん泣ける歌〜』が2/10にリリースされます。

今回、CDなどのフィジカル・リリースではなく、iTunesでのデジタル・ダウンロード限定でのリリースになります。

「Saddest Songs」というタイトルそのままのコンセプトで、かなしみをたたえる美しい歌ばかりを集めました。たしかに明るく楽しくなりたいと思うのが当然のことだと思いますが、明るくて楽しい音楽を聴きたくないときだってあるはず。「明るい曲はもうたくさん」という人たちのために、あえてliricoはこのコンピを捧げます。

ご存知のとおり、liricoはかなしみをネガティヴなものと捉えていません。かなしみも、よろこびも、ひとつの「感情」です。ぼくはいつも人生はプラスマイナスゼロだと考えています。かなしみがあれば、よろこびもある。かなしみがあるから、よろこびがある。だから、ぼくはみんながたくさんのかなしみと、たくさんのよろこびを経験すればいいと思う。豊かな感情こそが豊かな生活を導きます。

なにを書いてるのかわからなくなってきましたが(笑)、とにかく、よろこびに溢れたコンピレーションはそっちが得意な人に任せて、「sad is beautiful」を掲げるliricoはかなしみに満ちたコンピレーションを作りました、ということです(笑)まあ、要するに、こころに沁みる美しいコンピができたので、ぜひ聴いてください、ってこと!

15曲でなんと900円!!非常にお買い得ですよ。PDFでライナーもついてきます。まだ何も書いてないので、どういうものになるかわかりませんが(笑)

いちばん下のリンクから詳細をごらんになれます。全曲試聴もできるので、ぜひチェックしてみてください。きょうのところはこんなかんじで。次回、コンピ選曲の舞台裏に迫ってみます、と適当に予告しておきます。

Track list:
01. Heather Woods Broderick / Something Other Than
02. Grand Salvo / Needles
03. Tamas Wells / Valder Fields
04. My Broken Frame / Miss Moon
05. egil olsen / Nothing Like the Love I Have For You
06. Serafina Steer / By This River
07. Misophone / You Can’t Break a Broken Heart
08. Scott Matthew / Language
09. Gareth Dickson / If I
10. Last Days / May Your Days Be Gold
11. Whiskey Priest / Sweet Child
12. Radical Face / Homesick
13. Georgia’s Horse / Bloom
14. Chris Garneau / Over and Over
15. Matt Elliott / A Waste of Blood

『Saddest Songs』詳細/試聴:

http://www.inpartmaint.com/lirico/lirico_title/DDIP-3024.html

タマス・ウェルズに並ぶ才能を持つオージーSSW新作

pre024

メルボルンのシンガー・ソングライターGrand SalvoことPaddy Mannが間違いなくオーストラリアを代表する才能だということは、約1年ぶりの5thアルバム『Soil Creatures』が証明していると思います。

本人が演奏するピアノ、シロフォン、グロッケンシュピール、ベースやドラムの他に、ゲストミュージシャンによるヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、ハープ、フレンチ・ホルンなどさまざまな楽器によるゴージャスとは正反対の意味で豊潤なアンサンブルは繊細で美しい。

純粋にソングライティング能力だけで言えば、ひょっとしてタマス・ウェルズより上なんじゃないでしょうか。コーラスを用いたゴスペル・ソングから、シンプルなフォーク・ソングまで、極めて静謐なアレンジのせいか、Paddyの歌はとてもスピリチュアルに聴こえ、タマスのようなエンジェリック・ボイスとは違った神々しさすら感じられます。タマスよりもずっと地味ですが。

前作はそのものずばりな『Death』というアルバムを作っていた彼の興味もまた「悲しみ」と言っていいでしょう。安らかなサウンド、詩的なリリックの端々にフラジャイルさを感じさせます。

「Soil Creatures」というアルバム・タイトルは、ブックレット中に書かれているとおり、つまり「nothing dies here it just changes form into something rich and rotten (strange)」という意味でしょう。大地に生まれ、大地に帰っていく、ということ。なんだか老荘思想的です。

個人的にはmyspaceでも聴ける「Needles」の冒頭の、「she wears a dress like a song wears a voice」というすてきな表現に想像力をかき立てられます。

キャッチーさのかけらもありませんが、聴けば聴くほど味が出る最高のスルメ・アルバム。少なくとも、ぼくにとってはタマス・ウェルズ同様とても大切な1枚になりそうです。

最後に、イタリア人アーティストGiuseppe Ielasiによるマスタリングの巧みさを褒め讃えたいと思います。

Grand Salvo myspace
p*dis : Grand Salvo – Soil Creatures 詳細ページ