幅広い音楽ファンの間で話題になっているフリーペーパー「Quiet Corner」を冠タイトルにした、初のコンピレイションCDが発売。
 
メディアで大きく取りあげられることはなくとも、幅広いリスナーが深い愛情をもって聴き、自身で語りはじめている「クワイエット」で「センシティヴ」という共通感覚。それを通奏低音に、ジャズ/ワールドミュージック/SSW/ポスト・クラシカルなど、ジャンル〜国〜年代を超えて厳選した、日常生活にやさしく寄り添い、ささやかな幸せと豊かな彩りを届けてくれる18曲。同名のディスクガイドブックも同時発売。

2010年以降、「バー・ブエノスアイレス」の活動とその最大の功績たるカルロス・アギーレの発見、ポスト・クラシカルの台頭、中島ノブユキ~伊藤ゴローに代表される日本人音楽家の活躍、「雨と休日」の影響、ECMの一般層への普及など、繊細で穏やか、かつ豊かな表現をもった音楽が好まれている。ジャンルや年代は多岐に渡るも、そこに「クワイエット」という共通感覚をもつ音楽。メディアで大きく取りあげられることはなくとも、幅広いリスナーが深い愛情をもって聴き、自身で語り、共感しはじめている。
 
このムーヴメントが広まる中で重要な役割を担ったのが、フリーペーパー『クワイエット・コーナー』(以下QC)。ジャンルを超え、心を深く鎮めてくれる、穏やかで静かな音楽を独自の審美眼でセレクトしたディスクガイドと、ライター陣のパーソナルな表情が映しだされたエッセイを掲載したこの冊子は、新たなるリスニング・スタイルをリスナーに提案し、未知の音楽への扉を開く貴重な情報源として全国にファンを獲得、このたび待望の書籍化(シンコーミュージックより発売)が決定した。それと歩調を合わせ、本コンピレーションが発売となる。
 
冒頭を飾るラドカ・トネフとスティーヴ・ドブロゴスによるジム・ウェッブのカヴァー①の心震わす名演から②③は、QCを象徴するジャズ・ヴォーカル曲。④の星屑のようにきらめくピアノの響きから、SSWの親密なモノローグ⑥⑦へのフォーキーな流れ。そして淡々と雨音を奏でるような⑧から、⑨⑩への連なりには、「Fairy Sings Love Suite」の超越した共演を連想する。⑤や⑪の“ひとりビーチ・ボーイズ”感があふれる内省的な箱庭音楽を挟んで、⑫はこのコンピで唯一の日本人アーティストによる優雅な室内楽作品から、アンドレ・メマーリが紡ぐ端正なワルツ⑬は、本作の為にアレンジを施した新録を提供してくれた。続くパブロ・フアレスによるカルロス・アギーレの絶品カヴァー⑭までの連なりは、ブラジル~アルゼンチンの現風景が浮かぶ。そしてチャーリー・ヘイデンとジョン・テイラーのデュオ⑮から静寂のピアノ&エレクトロ⑯、そしてこれが最後のアルバムになると公言するヴァシュティ・バニヤンの最新作ラストに収録された⑰で幕を閉じる。

 

 

Track listing:
01. The Moon Is A Harsh Mistress / Radka Toneff & Steve Dobrogosz
02. Moon River / Diana Panton
03. But Not For Me / Joe Barbieri feat. Márcio Faraco & Nicola Stilo
04. Bright Days Ahead Closing / Quentin Sirjacq
05. Musical Express / Giorgio Tuma
06. Our Day Will Come / Naïm Amor
07. Hold On / William Fitzsimmons
08. Parallel Flights / Ryan Francesconi & Mirabai Peart
09. Chance / The National Jazz Trio Of Scotland
10. Landscape With Birds / Karen Peris
11. Moving To Town / Simon Dalmais
12. Carinhoso / Nobuyuki Nakajima
13. Uma Valsa em Forma de Árvore / André Mehmari
14. Memoria de Pueblo / Pablo Juárez
15. Bittersweet / Charlie Haden & John Taylor
16. Woyzeck / Lucas Nikotian – Sebastián Macchi
17. Heartleap / Vashti Bunyan

 

 

『クワイエット・コーナー 心を静める音楽集』
(シンコーミュージックエンタテイメント)

発売中!