フランスと日本を拠点に活動する音楽と出版、映像のレーベル RÉCIT より、Velveljin がバンドとしては6年振りとなるフルアルバム「LP」をリリースする。
2015年から2016年にかけてパリ、神戸、そして青森で録音・制作された今回の作品では、ピアノ、朗読、セッションといった異なるアプローチを用いて完成された楽曲たちを聴くことができる。
ピアノをメインに据えたシンプルでありながらも叙情的な「晩秋」、「2015」。サティやドビュッシーの作品に通ずる朴訥とした佇まいの楽曲だ。「沈黙を書き直す」と名付けられた2編の詩は、ジョン・ケージの「サイレンス」のテキストを彼自身も使用した「メソスティックス」という方法を援用して、再構築したものである。ある法則に従って、原文からランダムに選び取られた文章・言葉の連なりは断片的に堆積し、それはつかみどころのないものを把握する試みのようでもある。この4つの作品の間に挟まるようにして収録されている「よくある話」、そして「無題」。ベルベルジンにとっては久しぶりのセッションスタイルだ。これらの2曲は、おそらく意図的に音色や展開の複雑さを排除して、どこまでも単純な構成に仕上げられている。
アルバム全体を通して、閑静で物憂げながら、透明な心地良い雰囲気が漂う。様々な表現方法を通過した彼らが、ジャンルや演奏法を超え、あらためて1つの空間に集まり音を出す楽しみを再確認している。そんな姿を想像できるかのような、素朴で美しいLPができあがった。
Track listing:
01. Late Autumn
02. Writing Through Silence Ⅰ
03. A Type of Possible Reality
04. Untitled
05. Writing Trough Silence Ⅱ
06. 2015
01. 晩秋
02. 沈黙を書き直す Ⅰ
03. よくある話
04. 無題
05. 沈黙を書き直す Ⅱ
06. 2015
Velveljin
ベルベルジン
武田真彦、原口麻奈、山角洋平によるバンド。
2009年京都で活動を開始し、2010年自主制作アルバム「NONSAVOIR」をリリース。アナログ機材と先鋭的な音響素材をバランス良く用いた楽曲で大きな評価を集めた。
2011年、アンドレイ・タルコフスキーの映画から着想を得た音響作品「Nostalghia」、2013年には、フランスのポーにある図書館が所蔵しているジョン・ケージのサウンドアーカイブを使って制作された「Paucage」を発表。
メンバーはそれぞれ個人でも音楽制作を行っており、またサウンドデザイン、映像、DJと活動の幅を広げている。
official: http://velveljin.com/