US屈指の酩酊する男Sun Araw。
8枚目のアルバムでひらいた新境地は、サイケデリックとエレクトロニックの脱力ロデオ!

 

サイケデリックロックとダブの過剰な沼をつくっていた初期の作品から、2012年の『The Inner Treaty』ではジャケットよろしく口がぽっかりと空いた抜けの妙を生み、2014年の『Belomancie』ではその空いた部分がエレクトロニックの貼り絵でいっそう際立ち、Sun RaともLee Perryともほかの誰とも真似できない浮きの中毒を生むSun Araw。
 
2016年はライブ盤をはじめ、Prins Thomasによる話題盤『Principe Del Norte』に参加し、同友のAlex Gray (= D/P/I) とともにニューエイジの生ける伝説Laraajiとの競演盤をリリースするなど、あいかわらず絶好調の活躍をみせていた。そして待望のソロ・アルバムとしては本作が3年ぶり! ここでは揺れて震えるダブの側の側だけが存在し、電子音は弾力と自由さをもってしつこいほど駆け回り、トレードマークのギターは年月の味を増してブルースのようで、サイケデリックにポップに、しかし拒絶とは正反対に耳へ馴染んでしまうという次のレベルに到達。
 
いままで古代ローマやギリシャを作品に盛り込んできたSun Arawの本作のテーマは「牛を追いかけ回すカウボーイ」。ギリシア神話の英雄であるヘラクレスが牛やイノシシの怪物を捕らえ、やっつけていたことからヘラクレス = カウボーイとなったそう。
 
1曲目”A Golden Book”のショッキングな重力変化と後半で谺する尺八の無表情っぷりにはじまり、時間をかけて無理矢理にでも笑顔にさせてしまう陽気な”A Chute”、煙がこもった雑踏のなかでVisible CloaksやLaraajiのアンビエントが生まれる”Campfires”、ジュークとアフリカンの台頭から崩壊したビート観を思わす (つまり食品まつりと同じ線にいる) “40 Hooves”、パーカッションのしつこさがとてつもなく心地よいBob Dylan – I Shall Be Releasedのカバーなどなど、目がくらむような感覚のなかで、歌って弾いての見事なグッドミュージックを成立させた。絶妙なバランスをもって大衆音楽の域に達するほど、この男の憎めないスター性が発揮された傑作である。これは聴ける。これはドープ。
 
また近年はライブ盤のリリースも多いSun Araw。この日本盤だけの特典として、10曲90分に及ぶワルシャワでのライブ・アルバム『Warsaw Third』を追加収録! (帯裏面のDLコードより)

 

 

【国内流通盤特典】
– ボーナス・ライブ・アルバム『Warsaw Third』(2016年録音) (ダウンロードクーポンより)

 

 

【Track List】
Sun Araw – The Saddle Of The Increate
01. A Golden Boot
02. Lassie
03. A Chute
04. Orthus
05. Spurs
06. Campfires
07. Hop Along
08. Slopes of Geryon
09. Blue Gene
10. Amplitude
11. 40 Hooves
12. Two Creeks
13. Release
14. On Plateau
 

S. ARAW BAND XIV – WARSAW THIRD
01. BASHO
02. RITE OFF
03. SOUTH SOIL
04. HUFF
05. MA HOLO
06. LASSIE
07. LIKE WINE
08. CANOPY
09. LUMBAR
10. SEVEN LAMPSTANDS
 
RECORDED LIVE in WARSAW, 1 DECEMBER 2016
 
J. LELAND
C. STALLONES