この作品に出会ったとき、bar buenos airesをはじめた時の気持ちを思い出した。音楽でこれほど情景を含んだ世界観を描けるとは、彼は稀有の才能の持ち主だ。
― 吉本 宏(bar buenos aires)
 
カルロス・アギーレの音楽が、雄大な河の流れに人生のさまざまな情感を映し出すように、ハファエル・ジメネスの音楽は、霧に包まれた遥かな山々の稜線が重なり合うような幽玄なる風景の中に物語を描く。そして描かれる音の情景は、私たちの心深くの記憶と結びつき、鮮やかなイメージを立ちのぼらせる。

ブラジルのレシフェ出身のシンガー・ソングライター/コンポーザー/アレンジャー、ハファエル・ジメネス。このアルバムは、ハファエル曰く「長い時間と過程を経て、自分の情熱を全て注ぎ込んで作り上げた」作品。その言葉どおり、このアルバムはハファエルの情熱と才能が煌めきを放つ魔法のような瞬間がいくつも収められています。
 
朴訥とした歌声とガット・ギターのアルペジオの深い響きに導かれ、ブラジルの伝統的なリズムを奏でるパーカッション、幽玄のストリングス、仄暗い空に差し込む光のようなフルートが幾重にも色彩を重ね、音の陰影を描きだします。ミルトン・ナシメントやエグベルト・ジスモンチ、ドリ・カイミ、ネルソン・アンジェロ、ナナ・ヴァスコンセロス、タイグアラ、レオ・ブローウェルなどの音楽からの影響をサウンドに映し込み、収められた12 曲全てがつながり合いこのアルバムを形作っていると本人が語るように、とてもコンセプチュアルな作品です。アルバム固有の独自の雰囲気や音像そして世界観を持ち得た稀有な作品として長く愛される名盤となるでしょう。           
 
 
<収録曲>
 01. Prelúdio
 02. A Serra das Russas
 03. Igarapé
 04. Esse Menino
 05. O Último Jacarandá
 06. A Sede
 07. Interlúdio
 08. Beira de Estrada
 09. Mandacaru
 10. Araras
 11. Cordilheira
 12. Milharal
 
 
 
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