声を失ったシンガーソングライターが見出した、自己再生と希望。

 

2018年に発表したデビューアルバムが高く評価されたシカゴのシンガーソングライターによるセカンドアルバムは、 ツアー中に病に倒れ、声を失ってしまった時期に制作された。
自己のアイデンティティ喪失の危機から、自身を守るように、そして音楽を通してまた希望を見出せるように、 そんな祈りに満ちたインスト楽曲は、前作でも特徴的だった催眠的で繊細な機微に満ちたシンセサイザーと、フィールドレコーディング、自身によるピアノやギター、話し声のサンプリングから成り、”スリープロック”と自負する本来のシンガーソングライターとしての音楽性から発展した、美しいアンビエント作品に仕上がっている。
 
外に向けて発表するべきなのか、自身の心境としてもまだはっきりとしない段階から制作され、やがてその過程が彼女自身を癒し、精神的にも身体的にも回復へと導いていった、回復と再生のドキュメント。そんな個人的な物語から生み出した予想外のこの音楽は、奇しくもこのポスト・コロナの時代を生きる人々に癒しと希望を与えてくれる様な作品となった。
アルバムのラストでは回復した彼女による温かくやわらかな歌を聴くことができる。 

 

Track listing: 
1. apathy
2. body
3. INWIW
4. barely there
5. for Zoya in China
6. no sleep no dream
7. lakes
8. sadballad
9. 3 movements
10. ash
11. lesson