Passepartout Duo and Inoyama Land
“Radio Yugawara”
パスパルトゥー・デュオ・アンド・イノヤマランド
『レディオ・ユガワラ』
CD : ¥2,750(税込) LP : ¥5,940(税込)
PDIP-6611/AMIP-0363LP
2024年9月6日リリース(CD)
2024年9月27日リリース(LP)
レーベル:Tonal Union/p*dis
■国内盤CDのみボーナストラック1曲収録
イノヤマランドとパスパルトゥー・デュオ によるコラボ作品が完成!
湯河原から発信された周囲の環境と互いを調和するサウンド
パスパルトゥー・デュオはニコレッタ・ファヴァリ(イタリア)とクリストファー・サルヴィト(イタリア/アメリカ)によって結成され、2015年以来世界を旅して「スローミュージック」と呼ぶ創造的な楽曲を発表している。著名なアーティスト・レジデンスのゲストや文化スペースでのライブ・パフォーマンスなど彼らはカテゴライズされる事なく活動して来ました。定住地を持たない彼らの音楽的巡礼の旅は最初2019年に日本を訪問。この時に環境音楽と深く結び付いた事でサウンドに没頭し、2023年に日本を再び訪れた彼らは井上誠と山下康によるイノヤマランドの音楽に再会します。イノヤマランドは細野晴臣がプロデュースしたアルバム「Danzindan-Pojidon」(1983年)やグラミー賞にノミネートされたコンピレーション・アルバム「KANKYO ONGAKU」(Light in The Attic Records)のリイシューも含めて世界的に高い評価を得ているデュオ。ニコレッタはイノヤマランドに連絡を取ることに成功し、彼らの熱意が受け止められて今作の即興セッションを行う事になったのです。
「デュオであることの意味、そして音楽を通じて人々がつながることの意味を深く考えている」
今作『レディオ・ユガワラ』は2023年に井上誠の故郷である湯河原でレコーディングされました。彼の実家は幼稚園を運営しており敷地内のホールで行われたのです。パスパルトゥー・デュオが到着するとホールには4つのテーブルの輪が用意されていました。テーブルには、ハンドベル、グロッケンシュピール、木琴、リコーダー、メロディカ、ハーモニカなど子供用の楽器が丁寧に並べられていたのです。テーブルの周りには様々なベルやウィンドチャイムが吊るされた棚があり、この環境の中でそれぞれの演奏者は自分の電子楽器をセットアップしました。(1)「電子楽器のみ」、「アコースティックのみ」、「両方のミックス」、(2)「お互いのデュオ」のメンバーを交代して演奏する「4通りのデュエット」、(3)「制約なしに自由に演奏」の3つのセッションに時間が分けられ3時間以上の音源を制作。期待感の高まるオープニング”Strange Clouds”ではシンセサイザーのベッドとクロマプレーン(パスパルトゥー・デュオが設計したタッチレス・インターフェイスと無限のオーガニック・サウンドを特徴とする手製のアナログ楽器)を使って作られた緑豊かな風景を描くサウンドで、アルバム11曲の下地となっています。”Abstract Pets”ではパーカッシブなパルス音が作品の心臓となりアーシーなサウンドがきらめくグロッケンシュピールやウィンドチャイムを迎え入れています。
“Simoom”と“Tangerine Fields”では渦巻くシンセ・ラインとサブリミナル・ビートが天候の変わり目の様に変化し、牧歌的な“Observatory”と“Mosaic”はで深い海を照らす様なサウンドを展開。別世界の雰囲気を纏った“Xiloteca”では催眠術のようなアルペジオ・シンセ・ラインが戯れるようなアンビエンスで心地よい子守唄を奏でる’Solivago’へと繋がって行くのです。エンディング曲“Axolotl Dreams”ではエレガントで牧歌的なコード・ストロークと高揚感のあるシンセがリスナーに偶然の出会いを想起させてくれます。
『レディオ・ユガワラ』は特定の場所と時点から発信される二度とないユニークなものなのです。それぞれのデュオのアプローチはお互いの”調和“であり、自分自身や湯河原を取り巻く自然への調和と言えるでしょう。異世界を旅する波のように音は宇宙を旅して探し求めなければ永遠に失われてしまいます。楽器の中にハーモニーの親和性を見出し織り成す演奏の中に精神的な親和性を見つけることで、今作の核心はフィーリングや親密な人間関係の解釈であり、発見することの真髄を表していると言えるのです。
「このアルバムはある場所から発信されるものであると同時に周囲の環境と互いに調和する存在です。このような刹那的な瞬間の音楽は能動的な創造というよりも、すでにそこにある何かを発見することなのです。」
CD Track listing:
1. Strange Clouds
2. Abstract Pets
3. Simoom
4. Tangerine Fields
5. Observatory
6. Mosaic
7. King in a Nutshell
8. Xiloteca
9. Solivago
10. Berceuse
11. Axolotl Dreams
12. Paper Theater *CDのみボーナストラック
LP Track listing:
A1. Strange Clouds
A2. Abstract Pets
A3. Simoom
A4. Tangerine Fields
A5. Observatory
B1. Mosaic
B2. King in a Nutshell
B3. Xiloteca
B4. Solivago
B5. Berceuse
B6. Axolotl Dreams
B7 > end. (Locked Groove)
INOYAMALAND
イノヤマランド
1977年夏、井上誠(key)と山下康(key)は巻上公一プロデュースの前衛劇の音楽制作現場で出会い、メロトロンとシンセサイザー主体の作品を制作する。この音楽ユニットは山下康によってヒカシューと名付けられた。同年秋、ヒカシューはエレクトロニクスと民族楽器の混在する即興演奏グループとして活動を始め、1978年秋には巻上公一(B,Vo)、海琳正道(G)らが参入、リズムボックスを使ったテクノポップ・バンドとして1979年にメジャーデビューする。
1982年以降、井上と山下はヒカシューの活動と並行して2人のシンセサイザー・ユニット、イノヤマランドをスタート、翌1983年にはYMOの細野晴臣プロデュースによりALFA/YENより1stアルバム『DANZINDAN-POJIDON』がリリースされた。
その後、二人は各地の博覧会、博物館、テーマパーク、大規模商業施設等の環境音楽の制作に携わる。1997年にCrescentより2ndアルバム『INOYAMALAND』、1998年にはTRANSONICより3rdアルバム『Music for Myxomycetes(変形菌のための音楽)』をリリースし、10数年振りにライブも行った。
21世紀に入り1stアルバム他、各アイテムが海外のDJ、コレクターの間で高値で取引され、海外レーベルよりライセンスオファーが相次ぐなど、内外の再評価が高まる。2018年、デュオ結成のきっかけとなった1977年の前衛劇のオリジナル・サウンドトラック『COLLECTING NET』、3rdアルバム『Music for Myxomycetes [Deluxe Edition]』、1stアルバム『DANZINDAN-POJIDON [New Master Edition]』、2ndアルバム『INOYAMALAND [Remaster Edition]』、ライブアルバム『LIVE ARCHIVES 1978-1984 -SHOWA-』、『LIVE ARCHIVES 2001-2018 -HEISEI-』を連続リリース。 中でも世界的に再評価されている『DANZINDAN-POJIDON』は、オリジナルマルチトラックテープを最新技術で再ミックスダウン、マスタリング、ジャケットもオリジナルとは別カットのポジを使用し、新たな仕様にした事が評価された。
近年はアンビエントフェスのヘッドライナーを務めるなど、ライブ活動と共に海外展開も活発化。『DANZINDAN-POJIDON』をスイスのWRWTFWWから、委嘱曲のみのコンピレーションアルバム『Commissions:1977-2000』を米Empire of Signsからリリース、2019年には米Light in The Attic制作の、80年代の日本の環境音楽・アンビエントを選曲したコンピレーションアルバム『環境音楽 Kankyō Ongaku』にYMO、細野晴臣、芦川聡、吉村弘、久石譲等と並び選曲され、同アルバムがグラミー賞のヒストリカル部門にノミネートされ、更なる注目が集まる。
2020年、22年振りとなる完全新作による4thアルバム『SWIVA』、翌2021年に5thアルバム『Trans Kunang』をリリース。リリースの前後にはクラブミュージックの世界的ストリーミング番組、BOILER ROOM、国際的に芸術文化活動を展開するMUTEK、ほかOFF-TONE、FRUE、FFKTといったフェスティバル、各種音楽イベントへの出演を継続。
最新作は2023年12月リリースの『Revisited』(Collecting Net/ExT Recordings)。
Passepartout Duo
パスパルトゥー・デュオ
ニコレッタ・ファヴァリ(イタリア)とクリストファー・サルヴィト(イタリア/アメリカ)によって結成され、エレクトロ・アコースティックのテクスチャーと変幻自在のリズムから厳選されたパレットを作り上げるデュオ。2015年から世界を旅して「スローミュージック」と呼ぶ創造的な楽曲を発表している。アナログ電子回路や従来のパーカッションを使って小さなテキスタイル・インスタレーションからファウンド・オブジェまで様々な手作り楽器を駆使して専門的かつ進化するエコシステムを開発し続ける。著名なアーティスト・レジデンスのゲストや文化スペースでのライブ・パフォーマンスなどカテゴライズされる事なく活動。
ウォーターミル・センター(米国)、スウォッチ・アート・ピース・ホテル(中国)、ロジャース・アート・ロフト(米国)、外国人芸術家大使館(スイス)など世界各地で数多くのアーティスト・レジデンスの機会を得ている。また2023年には中之条ビエンナーレに参加し、4月には”Daisy Holiday! 細野晴臣”に出演。2024年には”ゆいぽーと”のアーティスト・イン・レジデンスとして来日し東北・北海道を訪れています。