メランコリー・バラードしか歌わないシンガーが歌う愛への信仰。

菅野よう子、ジョン・キャメロン・ミッチェルも寵愛した孤高の吟遊詩人の第2章。

ニューヨーク在住オーストラリア人シンガー・ソングライター、スコット・マシュー。日本が世界に誇る作曲家菅野よう子に見出され、『攻殻機動隊』(STAND ALONE COMPLEXシリーズ)や『カウボーイ・ビバップ 天国の扉』のサウンドトラックにヴォーカリストとして参加し、さらに映画『ヘドウィグ&アングリー・インチ』で一躍脚光を浴びたジョン・キャメロン・ミッチェル監督の『ショートバス』への楽曲提供と出演。日米の二大カリスマを虜にしてきた彼のそれまでのキャリアを総括したような2008年のデビュー・アルバムは世界中で熱狂的に支持され、ここ日本でもiTunesのアルバム・チャートで1位、ソング・チャートで2位(オルタナティブ部門)にチャートインするなど、注目を集めた。そんななか、待望の2ndアルバムが早くも届けられた。

ピアノやギター、ウクレレ、チェロ、ヴァイオリンなどさまざまな楽器を用いたクラシック調のアンサンブルに基づく前作の延長線上のサウンドながら、長いツアーの集大成としてもはやファミリーとすら思えるバンドメンバーとの共同作業によって形作られた本作では、前作以上の壮大なストリングスとホーンのレイヤード・サウンドによってよりゴージャスでエレガントなアルバムに仕上がっている。そしてやはりなんといってもスコット・マシューのクライング・ヴォイスが聴くものの心に深い感動の渦を巻き起こすだろう。メランコリックなバラードしか歌わないと公言するシンガーが追い求める“おわらないロマンス”。悲しみにまみれながらもやさしさに満ちた幸福の場所を見つけること・・・スコット・マシューの歌はとても弱くて、だからこそとても強い。

 

※ライナーノーツ/対訳つき
 

Tracks:
01. Every Traveled Road
02. For Dick
03. Ornament
04. White Horse
05. Dog
06. Community
07. There is an ocean that divides
08. German
09. Thistle
10. Wolverine
11. Friends and Foes