天才サウンド・アーティストAlva Notoことカールステン・ニコライの別名義作品「aleph-1(アレフワン)」。「無限」をテーマに、アコースティック・サウンドの美学を取り入れた、官能的なまでに美しいエレクトロニック・ミュージック。
いつまで聴いていてもあきないな。インドのタブラによる音楽のようでもあり、ある種の恒星が発するリズムのようでもあり、それらに共通するのは、宇宙はとても数学的に聴こえるということかな。――坂本龍一
果てしなく旋回しつつ上昇してゆく音の粒子が、われわれをここではないどこかへと誘う。数理学的、幾何学的な抽象と、美としか呼びようのないものの、妙なる出会い。カールステン・ニコライの新たなアルター・エゴが、いま慎ましく登場した。――佐々木敦
坂本龍一とのコラボレーションで一躍その名を広めたドイツ人電子音楽家Alva Notoことカールステン・ニコライの新プロジェクト「aleph-1(アレフワン)」。Alva Noto名義でのサウンドワークからは逸れ、本作では柔らかなアコースティック・サウンドの響き大切にした、エレガントで心地の良いミニマル・テクノサウンドを作り上げています。アコースティックな響きを感じさせる8つの様々なパターンのトラックで成り立つ本アルバム。無駄なものを一切排した最小限の音数で構成される柔らかなアタックのパルス音が、幾何学模様のようにポリリスミカルに、そしてメロディアスに美しく配置される、極上のミニマル・エレクトロニック・ミュージック。まさに洗練の極みとでもいうべきサウンドです。
Aleph-1のコンセプトは、数学者ゲオルク・カントールの理論に由来しており、「無限」の観念と関係があります。すべてフェードイン/フェードアウトされている各楽曲は、まったく違うパターンなのにも関わらず、非常に論理的な構成によって、終わりもはじまりもなく永遠に続くような、または、無限に広が続けるような錯覚を覚えるでしょう。この「無限」な音世界は、自分を見失ってしまう危険も伴いますが、aleph-1はその危険性も見越してサウンド制作を行いました。
*「アレフ」とは、1884年、ゲオルク・カントールによって数学の世界に紹介された専門用語。それ以来、数字を結合させたこのヘブライ文字の第一文字は無限集合の濃度(又は大きさ)を表してきた。代数と微積分において、アレフの数は無限とは異なると一般的に言われている。アレフは、集合の大きさを測る単位であり、一方、無限は一般的に実数直線の極限や、拡大実数直線の極値点である。あるアレフは他のアレフより大きいのだが、無限はただ無限なのである。
01 1 C A a 01x (7:46)
02 1 C A b 05 (2:24)
03 1 C A c 08.2.2 (7:56)
04 1 C A d 04 (3:36)
05 1 C A e 02 (8:50)
06 1 C A f 0.2n 1 (5:36)
07 1 C A g 08.4s (8:55)
08 1 C A h 09 (3:40 )
09 34 (4:28)*
*=日本盤限定ボーナストラック
aleph-1 a.k.a Carsten Nicolai/ Alva Noto
アレフ・ワン a.k.a カールステン・ニコライ/アルヴァ・ノト
1965年東ドイツのカールマルクスシュタット生まれ。現在ベルリンとケムニッツを拠点に世界的に活動する、ヴィジュアル/サウンド・アーティスト。創造的なプロセスに対する独自の微視的な見方を創りだすために,電子音とヴィジュアル・アートをある種のハイブリッドツールとして用いる作品で知られる。ポストテクノ音響の世界のみならず、現代美術やメディアアートといった多彩な領域を横断し、独自のポジションを確立。国際的に非常に高い評価を得ている。彼のサウンド・アーティストとしての名義がNoto/Alva Notoである。ソロ名義の他に、Pan Sonic、Opiate、そして池田亮二とのcyclo.など様々なアーティストとのコラボレーションを行い、2007年はビョークのリミックスも行った。そのコラボレーションの中でも、坂本龍一とのコラボレーション3部作「Vrioon」「Insen」「Revep」により、ここ日本でも一躍その名を広める。また、ドイツの音楽レーベル「raster-noton」を運営する。