坂本龍一とのコラボレーションで知られる天才サウンド・アーティストAlva Notoの最新作は、「世界共通語の概念的な分化」をテーマに、ライブ演奏を第一に考えて生み出された作品。複雑に組み合わされた緻密なパルスとグリッチが濃密なビートを織りなす、Alva Noto史上最もダイナミックなアルバムの誕生!!
本作「univrs」は、2008年にリリースされたアルバム「unitxt」のコンセプトをさらに発展させた続編となる作品。「unitxt」ではリズムのパターン(unit = 測量の単位、要素)や情報(txt = データ、言語)に焦点を当てていたのに対し、本作「univrs」では世界共通語(universe/universal = 宇宙/統一)の概念的な分化をテーマとしている。
本作でも「unitxt」と同様、異なるリズムの単位やモジュールの再結合、そしてフランス人サウンドポエットAnne-James Chatonとのコラボレーションから発展させたテキストをサウンドの構成要素に用いる作曲法が採られているが、「unitxt」のトラックが120bpmのグリッドの上で構成されていたのに対し、「univrs」のトラックはより早いテンポで作曲されている。さらにライブの演奏を第一に考えて制作されているため、アルバム全体が途切れる事なく流れるような構成になっており、突き刺すようなパルスやグリッヂによる緻密なリズムを幾重にも重ねた、ある意味ダンサブルとも言える密度の濃いダイナミックなビートが生み出されている。
Anne-James Chatonをフィーチャーしたトラック8「uni acronym」は、208組にも及ぶアルファベット3文字の頭文字/略語をAからZ順にランダムに並べたもので、感情を排除したAnne-James Chatonの独特な語り口とAlva Notoの無機質なビートが融合する、アルバムのテーマを象徴するハイライトとなるトラック。
日本盤は、プロジェクター3台を使用したワイドスクリーン上でリアルタイムに繰り広げられるビジュアルが圧巻の、今年ベルリンで行われたunivrs (uniscope version)のライブ映像と、アルバム収録曲「uni acronym」の映像作品が収録されたDVD-ROM付き。(QuickTimeムービー)
※ライナーノーツ付き/解説:畠中 実(ICC学芸員)
alva noto
アルヴァ・ノト
本名カールステン・ニコライ。1965年、東ドイツのカールマルクスシュタット生まれ。現在ベルリンとケムニッツを拠点に世界的に活動する、ビジュアル/サウンド・アーティスト。電子音とビジュアル・アートをハイブリッドツールとして用いる作品で知られる。ポストテクノ~音響の世界のみならず、現代美術やメディアアートといった多彩な領域を横断する独自のポジションを確立し、国際的に非常に高い評価を得ている。彼のサウンド・アーティストとしての名義がAlva Noto / Aleph-1である。ソロ名義の他に、Pan Sonic、Opiate、そして池田亮司とのcyclo.など、様々なアーティストとのコラボレーションを行い、ビョークのリミックスも手掛ける。その幾多のコラボレーションの中でも、坂本龍一とのコラボレーション5部作により、ここ日本でも一躍その名を広める。また、ドイツの音楽レーベル「raster-noton」の主宰者の1人。現在開催中の横浜トリエンナーレ2011ではカールステン・ニコライとして美術作品を出展中。