コンセプト力強い電子音楽から、熱を発する
フリーなインプロ、追求していく現代のテクノへ、
世界をみても他にないレーベル〈Entr’acte〉。
そのレーベル作品を日本に伝えるべく、
あらたに始動した〈きょう Records〉へ
〈スローダウン Records〉より移行しました。
トータル第5 弾はEryck Abecassis!
Eryck Abecassis はフランスを拠点に活動する音楽家である。1956 年生まれの彼は、すでに30 年近いキャリアの持ち主。
その活動領域は広く、実験的な電子音楽/音響を生み出すサウンド・アーティストであり、オーケストラ・室内楽などの伝統的音
楽語法を駆使し、映画、TV、舞台、ドキュメンタリーなどのスコアを担当する優秀な作曲家でもある。アーバンインスタレーションの
ための音楽なども手掛けており、社会に作用する音楽を生み出している芸術家といえよう。フランス政府からカナダ、ラジオ・フラン
ス、INA-GRM などから委嘱されており、作品は国際音楽祭でも上演された。
一方、彼はノイズ・ベーシスト Kasper T Toeplitz 率いるKernel やSleaze Art の一員として活動するなどノイズ・アーティス
ト/電子音響作家としても知られている。本作は、ベルギーの〈Entr’acte〉から2015 年にリリースしたソロ・アルバムで、モジュ
ラー・シンセを中心に、コンピューター、ベース・ギターなどを駆使し、ノイズのアクション・ペインティングのような音響空間を生
成している。2 年の月日をかけて丹念に制作・録音されたアルバムであり、彼のモダン・エレクトロニクス、ノイズ/ミュージックへ
のこだわりが感じられる仕上がりだ。
Track List :
1.Ark
2. (No HumXn) Cry for Help
3. La Griffe du Chien
4. Ilumen
5. Ilu Who Men
6. La Née
7. Partout, Zéro, Nulle Part
Entr’acte
2005年から本格的な出版がはじまったベルギー拠点のレーベル。初期はノイズや実験音楽をリリースし、現在ではJoke Lanz (Schimpfluch)、DanielLöwenbrück (Tochnit Aleph)、Lee Gamble (Pan)、Strategy (Further、100%Silk)、Giuseppe Ielasi (Senufo Editions)、Dennis Tyfus (Ultra Eczema)、Sam Kidel (The Death Of Rave)、Imaginary Forces (Halcyon Veil)など、コンセプト力強い電子音楽から、熱を発するフリーなインプロ、追求していく現代のテクノといった、自らの実験精神を突き進む多彩な顔ぶれがそろう。これらが違和感なく並ぶのは、白く統制された美しいアートワークでパッケージになっているからだろう。デザインは主催者も兼ねるAllon Kayeによるもの。アンダーグラウンド愛ある先見性と質の高さは世界を見渡してもほかにない。いまの「エクスペリメンタル」を考えるなら外すことはできないレーベルである。